夏はあまり使っている人を見かけないマスクですが、冬場になると必須アイテムですね。
主に使われているのはこの2種類なのではないでしょうか。
  • 咳やくしゃみの飛沫を防ぐ、フェイスマスク
  • 花粉や病原菌を吸い込むのを防ぐ、サージカルマスク

でも職業によっては、季節に関係なく毎日着ける事があります。

私の場合、溶接を体系的に学んだときに溶接作業でのマスクの必要性を指導されて、それ以来こういったマスクに親しみがあります。

街中で使っていたら怖い程、仰々しいですね。
これは、プロが使う「防じんマスク」と言う物です。

「じん」とは「ちり(塵)」の事で、それを(吸い込むのを)防ぐ為のマスクなのです。

溶接、解体、研磨、薬液噴霧、粉体原料の取扱など、微細な粒子が漂う空間で作業する場合に装着します。

マスクを着けないで長期間作業をしていると、微粒子が肺の中(肺の細胞の中)に蓄積して「じん肺」という病気になります。
この病気になると呼吸困難や息切れなどがおき、一生苦しむ事になります。
何より怖いのは、症状が徐々に進行して行くため自覚症状が無く、重い症状になって初めて後悔する事でしょうか。

溶接作業に限って言えば、これ以外に急性の「金属熱」と呼ばれる症状もあります。
溶接で発生する煙(溶接ヒューム)の中に含まれる、金属の粉塵を吸うと、全身のだるさや悪寒、吐き気、頭痛などが起こります。

「じゃあ、冒頭で書いたフェイスマスクやサージカルマスクじゃダメなのか」、と思うかも知れません。
簡単に言えば「無いよりはまし」程度で、あまり意味がありません。
なぜなら、フェイスマスクやサージカルマスクは比較的大きな微粒子を対象とした物が多いからです。

では、微粒子とはなにか。
微粒子の大きさは「μm(マイクロメートル)」で表します。
1μmを「mm(ミリメートル)」で表すと、0.001mmになります。

馴染みのある微粒子の大きさを挙げてみます。
  • ハウスダスト 500μm(0.5mm)
  • 杉花粉 30μm(0.03mm)
  • 最近話題の「PM2.5(微小粒子状物質)」 2.5μm(0.0025mm)
  • 杉花粉が大気中で壊れて小さくなった物 1μm(0.001mm)
  • (インフルエンザウイルス) 0.1μm(0.0001mm)

フェイスマスクやサージカルマスクは、これ位の微粒子を防ぐ程度の性能なのです。
ただし、インフルエンザウイルスについては、飛沫(咳やくしゃみ)で人から人へ染る為 0.1μmの大きさを防ぐ必要はなく、インフルエンザウイルス自体を防ぐ程の性能を持っているマスクはほとんどありません。

これに対して、じん肺の原因になる微粒子の大きさは0.2〜0.5μmと、とても小さいものだと言われています。

防じんマスクの場合、国家検定規格というものがあり、合格した製品は以下の大きさの微粒子を防げる事が保証されています。
※ただし100%防げる訳ではなく、使用状況によって20%〜0.1%程度の漏れはある模様。
  • 固体では0.06μm〜0.1μm
  • 液体(ミスト)では0.15μm〜0.25μm

これでおわかりかと思いますが、防じんマスクが対象としている微粒子の大きさは桁違いに小さいのです。
また、防じんマスクは装着時の顔への密着性(気密性)や、呼吸のしやすさ等でも高い性能を持っています。

(という事は、防じんマスクがあれば、花粉やPM2.5は余裕でクリアできるんですね。街中じゃ見た目が怪しすぎて出来ないと思うけど)

たいして有名でもなくアクセス数も少ないこのブログで、なぜここまで細かく防じんマスクの事を書こうと思ったのか。

それは、短い間ながらも現場で作業していた経験から、正しい知識やリスクを知らずに作業している方が多いと感じたからです。
ただ単に、危険性を知らないからなのか、防じんマスクをつけると暑いから、眼鏡がくもるから、邪魔だから、面倒だから、など色々理由はあると思います。

溶接の現場で、防じんマスクをしない人をよく見かけますし、マスクなんてしないという話を聞きます。
電気溶接使って仕事をする場合、「アーク溶接特別教育」の受講が労働安全衛生法で義務付けられていますが、この中で防じんマスクの重要性も説明されているのに、です。

リスクを理解した上で作業者の判断で装着しない、という選択をした場合は、本人の自由だと思います。
しかし、作業者を監督する立場の人間(会社の上司や先輩)が、こういった指導を作業者にしないでいる場合も多く、この場合はもってのほかだと思います。

ご自分の為、ご家族の為、防じんマスクが必要な場所では、是非つけるようにしてください。
もちろん仕事だけではなく、DIYで作業する方も、装着した方がいいです。
決して高い物ではないのですから。

と、ちょっとお堅い事を書きました。
防じんマスク自体の話に戻ります。

防じんマスクの種類を大きく分けると、安価な使い捨てタイプと、フィルターだけ交換して長く使える取替えタイプがあります。

ここでは私が愛用している取替えタイプの防じんマスク、興研(コーケン)のサカヰ式1005Rを説明したいと思います。
※ちなみに「サカヰ」の「ヰ」は「イ」と読みます。
この製品、ポピュラーなので、ワークマンやホームセンターにおいてあるはずです。
 

この製品、顔へのフィット感が良く、形がスターウォーズに出てきそうな雰囲気が気に入っているので、すでに2個目の購入です。

今回の画像は、だいぶ前に自宅用に買ったもので、型番が「1005R-07型」となっています。
もう一個、仕事で使っていたのは「1005RR-04型」でした。

メーカーのサイトを見ると、現在の最新は「1005R-08型」ですが、見た目の違いはわかりませんでした。
※説明書を見ると、RRが付く製品は、別売のオゾンフィルター、悪臭フィルターなどを追加で取付できるようです。

マスクを上から見たところです。独特な台形をしています。

濃い青い部分は柔軟性のあるシリコンで出来た、顔に接する部分です。
隙間から微粒子が入らないように、密着性を高める為に強めに顔に押しつけるのですが、シリコンゴムの形が良いからか、痛いとか違和感は感じません。
装着感は長時間作業するのに重要な点の一つです。

フィルターの入っているケースを開けたところです。
黄色いものがフィルターです。


このフィルターは3層構造で、微粒子の通過を限りなく減らせるようになっています。


フィルターが汚くなってくると、フィルターをたたいたり、洗って再利用する方がいますが、これは使い捨てなので、素直に新しい物に替えてください。
又聞きなのですが、メーカーの人によると目が詰まるほど性能が上がるそうなので、息がしづらくない限りは、ずっと使えるのではないでしょうか。

また、フィルター本体に汚れがつかないようにする「プレフィルター」という専用の安価な紙が売っていますので、これをフィルターの上に被せるのも良いでしょう。

フィルターを外してみたところです。フィルターには裏表がありますので、注意してください。
文字が書かれている方が裏(顔側)です。


フィルターを通して、空気を取り入れる場所がここです。
裏側がどうなっているのかは、後で出てきます。


この防じんマスクの良いところは、フィットテスターが内蔵されている事です。
これは装着時の機密性を確かめる為の機構です。

ツマミにを上に引いて、息が出来ない状態であれば、フィットは完全という事になります。

吸い込んだ空気を吐き出す場所はここ(丸いところ)です。


フタを開けると、丸くて薄いゴム板がついています。

この部分の裏側も後で出てきますが、息を吸うときにはガッチリと閉じて、吐き出す時だけ開く様になっています。
こういう機構の事をワンウェイバルブと言いますね。

裏側から見て見ます。
上の丸い部分がフィルターを通して空気を吸う方で、下側が吐き出す方です。
どちらもワンウェイバルブとなっています。

このバルブのゴムは非常に薄いもので、経年劣化するとワンウェイバルブとしての機能を果たさなくなります。
そうなると買い換えですね。

ここでおにぎり型のスポンジを紹介します。

これはなにかと言うと、吸湿スポンジと言います。
無くても良いのですが、呼気には湿気があって、マスクの中がビチャビチャになってしまい不快感があるので、それを和らげる効果があります。

このように口を当てる部分に置いて、


中に入れて使います。


付属品に、接顔メリヤスというものがあります。
シリコンゴムの部分に被せて、汗を吸わせるものです。

私は好きではないので使っていません。

付属の説明書の構造図です。


装着の方法も図解されています。


以上で防じんマスクの説明を終えます。

マスクは用途に合わせて色々な製品があります。
今回の防じんマスクは、微粒子の吸入を防ぐためのマスクでした。

この製品は、以前問題になった石綿の除去作業には使えません。
もっと厳重なマスクが売っています。

また、塗装をする時には、溶剤(シンナー)を吸わないようにする防毒マスクがあります。

様々な作業に合わせて、最適なマスクが何かを知る事で、ご自身や仲間の安全を確保できることを願います。

興研株式会社 防じんマスク
http://www.koken-ltd.co.jp/boujinmask.htm


 

Comment
k様、コメントありがとうございます。
ずいぶん苦労されたのですね。今は完全回復されたのでしょうか。農業にも防塵が必要だと初めて知りました。鳥ふんの事をちょっと調べてみたのですが、吸い込むとアレルギーや病原菌が恐ろしいものであることが書かれていました。
世の中の危険な事柄から身を守るために、基本的な知識を義務教育課程(中学校)あたりで教育すればいいのにと、思いますね。せめて将来働くときに関係しそうなものだけでも。
  • espresso
  • 2016/03/28 23:06
詳しい情報ありがとうございます。貴重なサイトですね。私は趣味で鶏を飼い農業をやっていますが以前、鶏ふんを吸い込み熱と咳が出て5年位苦しみました。今は興研の1021を使用しております。スグレモノです。あなたの言うとおりこの世は怖いものが沢山あります。テレビでもっと危険性を教えるべきです。
  • 2016/03/26 21:55





   
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